酒 林 造 り (2000年春号)
皆さんは「酒林」ってご存知ですか?
簡単に言うと杉の葉を束ねて丸く刈ったもの。
日本の酒造りの神様の神木である‘杉’にちなんで(昔、酒造りは杉の木桶で行われていた。今は琺瑯タンクが主流)毎年酒蔵で新酒ができると、青々とした真新しい酒林を軒先に吊るし、その年の酒造りの成功を祈り、ご加護を願ったそうです。
先日、その酒林を造る体験を近藤酒造さんが企画して下さり、五泉の人の所有する杉林に酒屋さんが集まり、みなさん酒林を一生懸命造ってました。
4本の開いた金具に杉の葉を積み重ねていき、最後は刈り込みバサミで丸くするという単純な作業のように思えるけど、これが結構面白い。
杉の香りは強烈だし、手は杉ヤニで真っ黒になるけど、気分はもう庭師。(その日の後、しばらくはよその草木を見ると刈りたくて刈りたくてウズウズ)
しかし、人里離れた杉林の中で酒林造ってても、もったいないと私は思い、そうだ、うちの店の前で酒林造ってパフォーマンスしようと閃きました。
ご丁寧にも未完成の酒林をわざわざうちへ持ち帰り、店頭でチョッキン、チョッキンと刈り込みの続きを始めました。
〃誰か声をかけてくれないかな〜〃
どん欲な私はそんな事ばかり考えていたんですが、誰も人が通らない〜。
たまに通っても知らん顔して過ぎ去っていく〜。あ〜寂しすぎる〜。
と悲しんでいたところ、嬉しくも近所のおばさんが、私を見つけ一言声をかけてくれました。
「良く出来たね〜。あんたの顔と一緒でまんまるだねぇ〜」
俺の顔がまんまるいのはほっといてくれ〜。
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